O2.How To Build GH?①

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  1. 家族の肖像
  2. 土地、ロケーション その1
  3. 暮らしと気候 ロケーション その2
  4. はじめての建築・・・予算を考える
  5. 基礎工事1・・・地盤調査
  6. 基礎工事2・・・コンクリート基礎
  7. ライフライン 水道・電気
  8. 構造1・・・木構造
  9. 構造2・・・断熱・気密工事
  10. 設計0・・・暮らしの設計
  11. 設計1・・・モジュールとグリッド
  12. 設計2・・・空間設計
  13. 設計3・・・配線と配管
  14. 設計4・・・軒の出・バルコニー
  15. 外装工事・・・屋根材と外壁材
  16. 内装工事・・・壁材・仕切りドア
  17. 設備機器1・・・キッチン・ユニットバス・トイレ
  18. 設備機器2・・・給湯器
  19. 外構工事・・・エントランス・デッキ・駐車スペース
  20. 維持メンテナンス・・・自分でやれるものは自分でやる

1.家族の肖像

 日本の家族構成は先進国中でも劇的に変化していることが知られています。 人口は2005年をピークに減少しているが、世帯数のピークは2015年頃で、以後緩慢に減少すると予測されています。 それ以上に、一般世帯(その他を除く)の構成比率の変化に留意される。家づくりは家族の肖像を考える機会でもあります。

 

2.土地、ロケーション その1

 住宅ストックの構成からみて、宅地は地域によっては不足しているが、一昔前に比べれば全体として供給は緩和されており、 宅地入手は先に行くほど容易になるのではと観測されています。土地の価格が下がり続けているのはそのためでしょう。 しかし自分たちにとって理想とする条件を備える住宅地を見出すのは、いつの時代にもむずかしい課題のひとつです。 なぜなら、土地を求めているのではなく、そこでの暮らしはどのようなものになるか、 あるいは長期に住んだときに家族の暮らしはどうなるかを将来にかけても想像しないわけにはいかないからです。

 それだけではありません。そもそも自分たちが暮らすことになる土地をとりまく環境についても考えることがあります。 駅から何分、買い物は便利、学校は近い、等々が不動産広告では常套句でしたが、最近の巨大地震や自然災害の頻発をみると、 どうもそれだけでは足りないようです。

  1. 「大地動乱の時代」が向こう数十年間続くと警鐘を鳴らす地震学者がいます。 今までの70年間は自然災害と住宅建設との関係を考慮することはたしかに希薄でした。 「地震の静穏期」だったからだそうです。となると、まず「土地柄」「土地の素性」についても一応検討しておいた方がよいということになります。 間違っても、活断層の上に建築物があるようなことはないようにしなくてはなりません。
  2. その上で、宅地はたいていの場合そのあたりに集積した住宅地に選ばれるので、方角や交通の便、周囲の環境から独立しているわけではありません。 出入り口にしても東西南北に制約がついてきます。
  3. さらに、地方あるいは郊外に位置する場合には、わたしたちの生活は今やクルマ社会ですので、 限られた土地と道路の関係の中で、まずクルマを置くための場所を確保しなければならないというようなことが起きてきます。 クルマは意外に場所を取ります、最低でも1台あたり3m×5mの空間が要求されてきます。 極端な場合には、クルマを置いた残りのスペースが建築可能面積だと考えなければならない場合さえ出てきます。
  4. さて、建築地をとりまくもう少し大きな環境について考えることがあります。 そもそも自分たちが暮らす地域は、これを気候や気象環境の面から考えるとどうなのか、ということです。 日本は世界から見れば小さな島国ですが、国土の70%が山地であると言われるように、 住まいのための空間は狭く、高低差があり、細長く、密集して入り組んでいることが普通です。 都市計画を大いに悩ませてきた問題なのですが、じつはそうした地域の特性だけではありません。 太平洋側と日本海外側、あるいはその中間地域、等々によって、じつに多様な気象条件を強いられているのです。 同じ緯度でも東に位置するか西に位置するかでは住まいをとりまく気象環境がまったく異なるということにそれは現れています。 北海道と沖縄の住宅建築を同一視できるはずはありません。
     ですから、暮らしを守る家づくりの大事な問題のひとつは、あらためて気候環境を確認し、 どのような建築内容であれば快適に暮らせるような住宅でありうるか、を考えなければならないのです。
  5. この国には、建築基準法というものがあります。 そこでは家を建てる場合のそうしたさまざまな条件を考慮しての指針がうたわれています。 本来、家を建てる際には、2つの事柄を同時に考えることがとても重要です。
    1. 構造強度
    2. 室内温熱環境の快適さ
    しかしいままでの建築基準法はどちらかと言えば、「構造の強さ」に偏重しての義務事項に終始してきました。 たしかに大雪や台風、地震による倒壊等の危険にたいして安全な家づくりをすることは重要なことです。
     しかし住宅の機能はそれだけではありません。最近では、室内での暮らしが快適であるか、 暮らしの基礎であるエネルギー消費が抑制されている家であるか、等々の問題がますます重要になりつつあります。 じつは住宅先進国と言われてきたカナダや北欧諸国の事情に比べると、この面での日本の立ち遅れは歴然としています。 ようするに、日本では住宅のハード面(構造強度)ばかりが強調され、義務化されてきた割には、暮らしの快適さ=ソフト面がおろそかにされ、 義務化されて来なかったという事情があるのです。

*これを書いている時に、ニュースが入りました。政府は、2020年をめどに、「住宅の断熱を義務化する」というのです。 ようやく問題の重要性が認識されはじめたようです。

3.暮らしと気候 ロケーション その2

快適な暮らしとはどういうものか?と考えてみます。

暮らしは室内で営まれるのですから、ひとつにはそれは室内環境、具体的に言えば、室内の空気の質ということにあります。よく「冬あたたかく、夏涼しい家」とか言われますが、そのことです。

 しかし事は「空気」のことですから、簡単ではありません。そこで暮らすヒトがその室内空気をどのように感じるかには個人差だってあるでしょう。さらには、昔から真夏の暑さや真冬の寒さをがまんするのも人間が丈夫に育つ上では大事なのだという根強い主張もありました。でもこれはやはりおかしな話で、住宅先進国のカナダや北欧からは優秀なスポーツ選手が出てこないなどとはおよそ言えないことからもわかります。むしろ急速に高齢化社会に移行しつつある日本においては、高齢者のヒートショックによる危険の方がはるかに深刻な問題なのです。

 こうした暮らしの大事な側面は長くまじめな研究が取り組まれており、いろいろなことがわかってきました。しかし問題がいまひとつつかみにくいことから、これをわかりやすく説明するためにいろいろな工夫がなされてきました。

「室内温熱環境基準」ということ。

 今、建築された住宅の外部環境(外部の気象条件)にたいして、家全体の室内の温度を一定にするためにはどれだけのエネルギーの消費が必要か?というふうに問題を立てます。寒い冬には暖房を、暑い夏には冷房をするので、その時、たとえば冬なら 22 度、夏なら 20 度に保つためにはどれほどのエネルギーが必要なのかというわけです。結局、この場合の所要エネルギーが少ないほど省エネであり、エコである、ということになります。

 「熱は高いところか低いところに流れる」という一般的な性質があります。部屋の暖められた空気は窓や壁を伝わってより冷たい外部へと流れていくのです。隙間だらけのスースーする家ではこれが激しく起きますから、いくら暖房を強くしても部屋の中は、なかなか温まりません。体温も奪われていきます。そこでストーブでは足りずに、厚着をして、さらにはこたつに入って冷えた体を温めようとするわけです。こういう暮らしを強いられる状態では、快適な家とは言えません。

 断熱住宅という考え方がここから出てきます。住宅の断熱とは結局、快適な室内の温熱環境を外部環境から守るためのものであるとも言えます。

「住宅にはそれをとりまく気象条件というものがある」

 ところが、言うまでもなく、家をとりまく外部環境(気象条件)は、日本という地理的環境の下ではその東西南北によって季節ごとに相当の格差があります。これをひとくくりにはできません。そこで、日本では、国土をその気象環境によっていくつかに分けて、これを「気候区分」と呼んでいます。区分を考える上では、とくに日射条件までもが加味されることもあります。

そのように区分した上で、それぞれの地域ごとに理想的な、快適な住宅室内環境をつくりだしていくための「建築上の技術条件」を研究していく努力がなされてきているのです。

しかし問題は意外に複雑です。なぜというに、同じ地域で同じ気候区分に大きく分類されたとしても、実際には土地柄には高低差もあり、海岸地帯なのか内陸地方なのかによる格差もあります。そういうわけで、さらに詳細に見ていく必要もあるのです。

別の項で、この問題はもうすこし掘り下げて説明します。

4.はじめての建築・・・予算を考える

最初も最後も、建築予算は気がかりです。

建築工事の予算は通常では大きくわけて4つになります。

  1. 本体工事
  2. 付帯・別途工事
  3. 諸費用
  4. 変更・追加工事費

 もちろん④の追加工事はできれば避けたいのですが、工事途中で施主さんの気持ちが変わったりして発生してくることがおうおうにしてあるものです。 やはり、入念な検討をして極力なくしていきたい部分です。

以下説明します。

①本体工事

 文字通り、建築物本体に係る主力工事の一切です。
 仮設工事・基礎工事・木工事・屋根工事・壁工事・内装工事・設備工事等々ですが、 一番ボリュームが大きく、項目も多いので、点検していくのもたいへんです。

②付帯・別途工事

 新築の住宅には外部環境とのあらたな交通関係が生まれます。水道・電気は引き込み工事をしないと使えません。燃料にガスを使えば、あらたな契約が生じます。

下水道が整備されている地域もあれば、そうではなく敷地内に浄化槽を設置しなければならない敷地条件の場合もあります。既設の建物を解体しなければならないケースもあり、土地の形態が斜面地で造成工事を伴うこともあります。
  こうした 敷地条件からくるさまざまな工事領域 に関してはこれを付帯工事として本体工事から分離して積算提示するのが一般的です。

 このほか、照明器具やカーテンやエアコンなどが本体工事の詳細決定時にはなかなか決まらない項目もあります。時にはこれらはまったくの別途工事として施主さん自身がやりたいと申し出られることもあります。そういう意味で、これらは本体工事とは区別して扱うことがふつうです。

③諸費用

 まず 設計業務費用 が発生します。住宅建築には何枚もの「設計図書」が必要になります。おおまかな絵コンテから始まって概要設計図・本設計図・実施設計図面等ができて、はじめて全ての工事業者の工事が可能となります。
 建築許可の申請 が必要です。付帯工事でも説明したように所轄官庁との折衝や届け出等の作業も出てきます。
 建築が完了すれば 登記手続き とその費用もかかります。
 銀行ローンを組むと、 保険や手続料 が別途に加わります。

④変更・追加工事

 外構工事 (門扉・フエンス・駐車場の舗装・緑化)等々は、別途工事として初めから予算化されるのが望ましいのですが、どうしても後回しになってしまうことが多いのです。そうした場合には追加工事となります。

 本体工事の途上で、 内装や設備などが施主さんの希望で変更 されることがあります。これらは変更工事として従来の費用との差額が出てきたりします。

 ざっと考えても、以上のようになります。「こんなはずではなかった」「聞いていなかった」となるとトラブルの原因にもなります。やはり最初の建築計画時に、入念に確認していくことが重要です。

5.基礎工事1・・・地盤調査

 阪神淡路大震災や新潟沖地震を経験してくることで、構造強度の観点から、今では新築にあたって「地盤調査」とそれにもとづく「地盤改良工事」が義務付けられています。これはきわめて大切なことです。住宅も建築物である以上、相当の自重をもっています。地震で地盤に変動が起きると、建物が傾いたり、ひどい場合には倒壊に追い込まれたりするのは報道でわかる通りです。

 そこで、一般にはスウェーデン式サウンデイング法という技術を用いて地盤の強度を測定し、必要な補強をコンクリート杭等で措置して、その上に基礎を乗せていくというのが一般的な手法です。この詳細は研究所ブログでも説明しています。

 今回、震度 6 強に達した地域では、まさに実大実験で結果が観測されています。極端な地割れなどに遭遇すればまったく無傷というわけにはいきませんが、同じ地区でも、地盤改良がなされた最近の建築事例では、威力を発揮したことは比較の上でもはっきりしています。

6.基礎工事2・・・コンクリート基礎

 GH では、鉄筋を適正に配置するだけでなく、基礎の厚みは通常の木造建築物の標準( 120 ミリ)に比べて 180 ミリと部厚いことがひとつの特長です。これもやはり今回の巨大地震の経験からわかったことですが、従来の基礎の厚みは、これまでの木造住宅の壁厚によって経験的に制約を受けてきた側面が指摘されます。 GH 住宅では、室内に居住して震度 3 程度ではほとんど身体に揺れを感じないことがわかっています。部厚い基礎と 170 ミリの外壁パネルで構成される強靭な躯体によってきわめて頑丈な性能であることが確認できたわけです。基礎はやはり大切です。

7.ライフライン 水道・電気

 生活上のインフラ整備という点では、日本は決して先進国とは言えません。ひとつには下水道の整備率です。大都市部と地方の格差は依然として大きく、家庭用浄化槽の設置の必要性の有無は建築工事上も無視できない現状にあります。もうひとつは、何しろ全国津々浦々電柱と空中配線だらけという実情です。都市や街の景観が雑然としていまひとつ見劣りする最大の理由はここにあるかもしれません。

 それはともあれ、ライフラインを確認することから建築計画ははじまると言っても過言ではありません。建物が建っているあいだお世話になるのですから、外部からの引き込みと建物内部の配管・配線のありようはよくよく考えないと後で苦労します。

 加えて、これまた巨大地震による停電の経験から、にわかに自家太陽光発電装置の設置などがブームとなっています。自前の発電装置があれば生活防衛になるというわけです。 GH は再生エネルギーの活用にはまったく賛成の立場ですが、しかしこうしたにわかブームには、いささか異論もあります。というのは、 GH はなるだけ人為的エネルギーに頼らなくても快適に暮らせる室内環境をめざす家づくりだからです。 100 年に一度(千年に一度とも言われますが)の一時的な不便に備えるといっても、ハイテク導入には大きな初期費用と維持費用がかかることも忘れてなりません。

8.構造1・・・木構造

 GH の建築構造は、ツーバイフォー構法あるいは「枠組壁工法」と呼ばれる<壁式パネル構造住宅>に属しています。日本では在来軸組構法といって、柱や梁を軸として構成する木造住宅が一般的ですが、世界を広く見れば、北半球ではむしろ壁式住宅の方がはるかに広く普及しています。とくに、 GH は北欧スウェーデンの木造壁式住宅をモデルとし、日本の建築規範や風土を勘案して制定されています。

 一般に軸組構造とパネル構造は、設計の自由度においては前者が、構造強度においては後者がまさると対比的に語られますが、これは俗説です。近年の度重なる大地震の結果、軸組住宅の構造耐力が問題視され、現在では「壁量規制」というかたちで一定のルールに従う設計壁量が設置されない建築物はそもそも許可になりません。ですので、最近の住宅では、それが仕上がると構造がどちらに依っているのか判別できないほどになっています。東・南向きの雨戸や障子・襖(ふすま)を取り払えば庭の自然と一体になるというような間取りは、見た目は何であれ、建築的にはそれこそ自己責任の世界になっています。

 必要壁量が増えると今度は妙に(中途半端に)気密性が高まり、シックハウス症候群などというあらたな住居病が出て来て騒がれました。風通しも悪くなり、蒸し暑さや寒さがこたえるようになってしまいました。そこで。。。

9.構造2・・・断熱・気密工事

 それでなくとも不用心で、夏の夜に窓を開け放して寝るなどということはできなくなりました。都市部やその影響を受ける地域では、ヒートアイランド現象で、かえって夜気の方が暑いことさえあるのです。したがって、快適な家にするためには、断熱工事や気密工事をしっかりやって 室内の温熱環境をコントロールする のがたしか方法となったのです。

 しかし問題はそれらの工事の質です。 2020 年をめどに、<住宅の断熱化を義務付ける>ということが政府方針で決まったようです。ということは、現状の家づくりにおいてこの大事な課題が義務化されておらず、ネグレクトされてきたかがわかります。

反対側からいうと、なるほど新しい住宅のストックは増えたものの、現在の住まいに(居心地に)多くの不満が寄せられる理由がわかります。そもそも室内の暮らしの快適性が設計に織り込まれていないのです。欧州議会ではすでに 2020 年問題は建築業界に大きな課題を課しています。それはこの年以降、欧州では CO2 排出ゼロの住宅以外は新築を許可しない、という厳しい開発条件が決議されているからです。スウェーデンや西ドイツなどが必至にこの問題に取り組んできたのはこの理由からです。

 めざすべきは、熱損失係数1という指標です。 壁・床・屋根裏・窓(および玄関ドア)の調和のとれた断熱性を高め、トータルではじめから世界基準の家をめざすべきなのです。

10.設計0・・・暮らしの設計

何よりも大事なのは、どんな暮らし方をするのかということです。そのことがはっきりしないと、家の設計はいまひとつまとまりません。住宅建築に関してはあまたの雑誌や情報誌もありますが、感心したところを全部寄せ集めたところで、良い家ができるとは限りません。経験を積んだ設計担当者との対話が重要だというのはそこです。

11.設計1・・・モジュールとグリッド

 建築では、平面設計での基準とする寸法を決めてかかります。 GH ではこれを日本になじみのある 910 ミリとしています。これを設計モジュールと言います。モジュールの集合をひとまとめにしてグリッドと呼ぶことがあります。モジュールを決めておくと設計を考える上でとてもやりやすいのです。モジュールはさまざまで、京間とか関西間(九州間)とかではもう少し大きくなります。メートル法を考慮してメーターモジュールというのもあり、欧米では 1200 モジュールやこれに近いですがインチ立てて4フィートモジュールなどというものもあります。

 よくメーターモジュールだと通路が広く取れる、という話がありますが、全体平面積が同じだと前提すれば、広く取った部分の反対側には狭くなる事情が待ち構えています。また、このような場合 910 モジュールではおよそ 150 ミリを単位として「広さを考えればよい」ので、この場合には 1060 ミリになります。要するに考え方です。

 GH がモジュールを 910 ミリにした理由は平易です。この寸法が事実上最も広く流布されており、構造に関係するあらゆる建材や機器がこれを標準として開発製造されているので建材調達が容易でその分安いからです。

12.設計2・・・空間設計

 空間というからには、高さがともないます。家はふつうには大きな箱のようなものですが、予算や計画に応じてこの箱の大きさは決まっています。これをどのように区切っていくかが空間設計です。 GH ではとくに 1 階の標準高さは通常の家よりも高くしてあります。

13.設計3・・・配線と配管

 照明や電気器具の使い方によってあらかじめ配線やコンセントの位置を決めて   おかなければなりません。同様に、水回り(キッチン・バス・トイレ)の配置によって給水・排水管の配置が決まってきます。とくに給排水を合理的に計画するためには水回りの設備機器を設計上どう配置するかが影響します。一般に、水回りはなるだけ近接していた方が、経済合理性(工事費)からもよいとされています。排水は敷地条件にも関係するので両面から考えておくことが必要です。

14.設計4・・・軒の出・バルコニー

 あえて軒の出に項目をとったのは、室内温熱環境に関わっているからです。昔の日本家屋はとくに軒の出が深いところに特長をもっていました。それは真夏日の直射日光を屋内に取り込まないためのものでした。また現在のように、エアコンなどはないので、夏は木陰の効果である涼風を取り込むためでもありました。冬は太陽が低いので、屋内深くまで日が差してあたためることができる、というわけです。

 いつの頃からか、日本の家の軒の出は短くなってきました。おそらくは<洋風デザイン>が好まれたからではないかと想像するのですが、今一度考えるべきではないかと思います。室内温熱環境を考える上では、とくに日射取得条件を考慮に入れます。ジカジカと照りつける太陽がどんどん侵入してくる室内の温度コントロールは誰が考えてもむずかしいものです。

 軒の出にも関係しますが、日本人はなぜかバルコニーが好きです。個人的な考え方で恐縮ですが、バルコニーがいつからはやりだしたのか知りませんが、わたしはこれがきらいです。バルコニーはたいていの場合、洗濯物干し場にしかなっていません。比較的広くとってここでたまには紅茶でも、などとイメージしてもまず使われることはありません。単なる飾りのようなもので、多雨な日本の気候を考えると水漏れによる被害が出たりして、百害あって一利なし、と考えています。(もう一度言いますが、個人的な考えです)日本人は戸外で食事をする習慣がないのです。(芝生に囲まれた広い別荘地のデッキなら話は別です)

 もうひとつ個人的な考え方を述べさせていただきますと、網戸の話です。網戸は、どう考えても夏の風物詩ですが、高断熱住宅になるとまず網戸を使うことはありません。考えてもみてください。外は以上に暑く、最近ではエアコンの効いた室内の方が夜気よりもはるかに涼しいのです。新築の時は騒がれるのですが、 GH の家で網戸を使うのはいつかと考えると不思議な気がします。住んでみてから考えても遅くはありません。

 これに関連して言うと、窓を開けて外気を取り入れるというのも何だか変な話です。
窓は外を眺めるためのもので、開けて効用があるというのは 24 時間換気装置が働いていない汚れた空気の室内があたりまえだった時代の話です。 24 時間換気が義務付けられた現在、窓を開けないと気持ちが悪いというのは気密性が低くて換気計画がしっかり機能していないか、もしくは閉鎖型ストーブ( GH では厳禁です)を焚いたために室内の空気が汚れたしまった時だけです。高断熱住宅の暮らしでは窓を開けない方が快適なのです。

15.外装工事・・・屋根材と外壁材

 屋根は軽くて丈夫なのが一番です。とはいえ耐久性も考慮に入れなければなりません。今では地震対策上、瓦も釘止めをするタイプが普及しつつあります。今般の巨大地震での経験で屋根材の落下防止はますます深刻な課題となりました。

外壁材は周囲を見ればわかるようにじつに多彩です。なぜか流行もあり、サイデイングが流行ったかと思えば、モルタルが復活したり、金属板(ガルバリウム鋼板)なども好まれて使われています。価格は多少張りますが、タイル仕上げは長期耐用性という点ではすぐれた材料には違いありません。

16.内装工事・・・壁材・仕切りドア

 在来木造住宅でも大壁工法になって柱が見えないつくりが一般的になりました。畳のない家もふつうに見かけられます。時代は内装工事と言えば壁紙(クロス)工事だというような具合です。クロスもいろいろ工夫されてきましたが、やはり貼った時が一番きれいで、時とともに薄汚れて来るのは避けられない。

健康ブームから、塗り壁やドライウヲール(西洋しっくいとも呼ばれる塗料を用いる)仕上げという手法も好んで用いられます。予算の問題はあるのですが、北米では新築では防災上からもドライウオールが義務づけられています。じつに美しく、かつおしゃれで、時がたっても味わいがあります。この場合には室内側の石膏ボードの張り方から考えなければなりません。やはり予算が。。。

17.設備機器1・・・キッチン・ユニットバス・トイレ

 日本のトイレ(ウオッシュレット)が外国人の土産になるほどで、何しろ水回りに関しては、それぞれのメーカーが過激なほどの開発競争に明け暮れてきました。浴室を手作りしたいと申し出る施主さんはあまりいなくなりました。考えてみると、最も酷使されるのが水回りですから、いずれ交換することを前提にした方がよいのかもしれません。最近の日本のユニットバスはなかなかのものです。

18.設備機器2・・・給湯器

 給湯設備では、エコ給湯はやはりすぐれています。いずれ燃料電池が普及すればどうかわかりませんが、今のところ突出した圧倒的な存在です。もっとも、地震で長期停電すれば給湯ができないのでどうしてもガスにこだわるという方もおります。これは考え方です。

19.外構工事・・・エントランス・デッキ・駐車スペース

 当初の計画で外構工事まで予算化してかかるのが理想的ですが、なかなかそこまではいかないというのも現実です。しかしクルマがふつうにある現在では駐車スペースと舗装はどうしてもとなります。

 デッキとくに木製デッキの場合にはあとあとの手入れ(時々の塗装)に自信のある場合だけにした方が無難というものです。もう一度言いますが、日本人には戸外で食事を取る習慣はありません。多雨な日本ではデッキも手入れしなければいずれ腐ります。

20.維持メンテナンス・・・自分でやれるものは自分でやる

 せっかくの新築の家もそのまま手入れをしなければ、やがては傷んできます。ですから快適な暮らしを続けるためには家にたいしてもいたわって共生していくという心構えが必要です。

 メンテナンスにはおおよそポイントがありますから、これらをまとめて GH ハンドブックとして提供しています。

 ただし、設備機器関係に関しては購入時の取扱説明書類を保存しておくことは必須事項です。

 しっかりとした家をつくれば、そこで求められるメンテナンスはそう多くあるわけではありません。とくに留意したいのは窓枠の定期的な塗り直しとムクフロアのワックス掛けぐらいでしょうか?ちょっとした不具合はなるだけ自分たちの手でやってみることです。そうしてはじめて自分たちの住まいに愛着も湧いてくるものです。