はじめまして、高断熱住宅です

はじめまして、高断熱住宅です。

 

(1)日本は長い間、住宅の高断熱化がもたらす本当の快適さ、気持ちのよい住まいを知らずにいました。

住宅は小なりとはいえ建築のあらゆる要素が総合されます。構造躯体や外装内装のあれこれ、住設機器や暖冷房機器の決定、さらには太陽光発電などの再生エネルギー活用の問題等々、数え上がれば限りないほどの選択肢の中で自分たちの暮らしのシェルターとしてふさわしい住宅にたどりつこうというのですからなかなかたいへんです。
そして悲しいことに、たいていは無数の要素のあれこれに目を奪われ、最も肝心なことが忘れられてしまいます。

それは、建物の構造要素がもたらす「室内温熱環境」いいかえれば「室内の空気環境の質的レベル」という問題です。

はじめてこの問題が提起されたのは、1980年(昭和55年)ですが、それ以来さまざまな基準の改正や指導が行政サイドからあったのですが、事態は一向に改善されないまま今に至っています。
このあいだに住宅資材や建材さらには設備や機器の開発あるいは耐震設計に関する知見は長足の進歩をとげました。
しかし暮らしを包む、肝心の室内環境は依然として劣悪なままでした。「たまらないほど蒸し暑い夏」「起きるのがおっくうな冷たい室内」という問題はほんとうには解消されていません。

こうなった理由はいろいろありますが、折角の行政指導も<指導>という範囲から抜け出せなかったことが大きいと思います。ところがここにきて事態は一変しました。2020年春以降、すべての住宅に計画段階での断熱性能値(UA値)の明示が義務付けられたのです。

(2)住まいの高断熱化こそ、最も優先すべき課題

わたしたちは多年にわたる建築活動からの結論として、住まいの高断熱化こそがあらゆる問題に優先して図られるべき日本の住宅建築の課題である、という結論に達しました。

この課題は、設計段階での4つの要素でおおよそ決まってしまいます。

  1. 断熱・気密仕様の決定
  2. 窓の選択
  3. 換気計画
  4. 暖冷房計画

以上です。

外装や内装、設備や機器はいずれ更新可能ですが、構造工事とセットになる断熱気密工事によって実現されてしまう室内温熱環境はおいそれとは交換できません。後悔しないように「あらゆる問題に優先して図られるべき」と主張するのはこの理由からなのです。

(3)首都圏における平均的な環境と、快適に過ごすために必要な環境は?

以下の図で説明します。

この図では外気の季節変化を受けての室内の温度(室温)を表現しています。ただしここではいずれも平均温度で図解されていることに注意してください。(季節による一日の変化はもっと激しいものであることはご承知の通りです)

さまざまな研究から、ヒトにとって最も望ましい室内温度は22℃±2℃であろうとよくいわれます。しかしこの状態を年中保つのは至難です。というのは季節ごとの外部気候条件の激しい変化によって、この<理想的な室内温度の帯>はいやおうなく上下動するのです。これが図の帯状の季節変化の実際的理由です。

ところが首都圏で実施された既存住宅の調査では、冬季には居室が10~12℃、廊下で8℃、トイレではなんと6℃であるというのです。これではあたたまった夜具から起きてトイレに行くのにも勇気がいるというものです。わるくすると、ヒートショックに陥る可能性すらあります。第一、医学的には恒温動物であるヒトは、15℃以下に長時間さらされると低体温症を発症するおそれさえあるのです。

さてこのとき、暖房を切って就寝しても冬の早朝の室内温度が17~18℃程度であればどうでしょう。これならパジャマのままでもさほど身体に負担はかからず、やがて朝陽が差し込めば、室内温度はぐんぐん上昇し、たちまち20~22℃に達します。わたしたちがいう高断熱住宅とはこういうレベルの住まいのことを指しているのです。

(4)窓の選択 ~室内から逃げ出す熱を思い切り減らしましょう

先には、4つの計画について述べましたが、ここで知っておいてよいのは、室内から逃げ出す熱の移動という問題です。建物による差異はありますが、室内の熱はおよそ以下のような部位を通じて外部へ逃げ出します。熱はなにしろ高いところから低いところに流れ出す性質があるのです。
住宅調査によれば、住宅から逃げ出す室内側の熱は以下の通りです

  1. 窓から       45%
  2. 外壁から      18%
  3. 天井から      13%
  4. 床から       11%
  5. 換気口から      3%

同じ窓を当社の木製三層気密硝子サッシに置き換えると、窓から逃げ出す熱の割合はいきなり18%以下にまで減少します。窓の選択がいかに大切かがこのことでわかります。

美しさだけでなく何よりも性能面からそうしているのです。

(5)外壁の高断熱化

ついで重要なのは、建物のもっとも大きな面積を占める外壁の高断熱化です。
以下の図を見てください。

あたたかい住まいのためにどれがよいかは説明を要しないでしょう。

(6)UA値のお話

さて最後に、あらたに登場しているU値あるいはUA値についてすこし説明します。
すこしややこしいですが、むずかしい話ではありません。

まず地域毎に設定されたUA値はいままで用いられてきた次世代省エネ住宅基準による性能区分と大差ないと考えてけっこうです。

上記のような図解から、熱の移動に関係するそれぞれの部位の断熱化はいろいろな材料構成からなることはわかると思います。それぞれの材料には熱を通す伝導率というものがあります。これらを合成してたとえば外壁をつくるとすると、今度はこの外壁全体の熱貫流率(熱損失の率合い)がわかってきます。これをU値と呼んでいるのです。壁・床・天井・窓などの部位の断熱性能がこれでわかります。

そこでおしまいに、それぞれの建築の部位(外壁・天井・床・窓)などをつうじて外部に逃げ出す<熱損失量>をこの建物の構造の外側全体の面積(外皮と呼んでいます)で割り返せば、計画する建物の省エネルギー性能がわかるのではないか、となります。これを表すのが、UA値なのです。値が小さいほど省エネルギー性能が高いことを示します。

UA値は、気候条件のちがいを勘案して8つの「地域区分」に設定されています。

気候区分 地域(県名) 基準UA値
1 北海道 0.46
2 北海道 0.46
3 青森・秋田・岩手 0.56
4 宮城・山形・福島・栃木・新潟・長野 0.75
5 茨城・千葉・東京~京都・大阪~広島・島根・徳島~福岡・熊本・長崎・大分 0.87
6
7 宮崎・鹿児島 0.87
8 沖縄

人口分布でみれば、圧倒的な人口は5,6区分に属しています。
ただしそれぞれの地域には土地の高低をはじめ異なる気候環境が存在していますから、
さらに詳細な市町村別の区分も参照しなければなりません。
敷地の実際環境も重要です。

さてこうした前提で、例のUA値をたとえば以下のように表現することができます。

UA値がゼロである住宅をつくることはまず不可能です。
反対に、UA値が1であるというのは、いわば隙間だらけのスカスカの住まいなのですから、これも論外です。図で言えば、左側そして下方にいけばいくほど、断熱性能が高く、したがって省エネルギー性能が高く、つまりはより快適な室内環境レベルになります。ここからわかるようにいわゆる次世代省エネルギー住宅基準はそれぞれの地域区分の気候条件によって差異があってもよい(つまり断熱基準を緩和してもよい)と言っているのです。

しかしながらここで根本的な疑問が湧いてきます。
なるほど北海道は気候条件が厳しいから、より高断熱化が必要なのであるというのであろうが、それほど優れたものならそれをたとえば東京(気候区分5)で実現してはいけないのか?という疑問です。結論から言いますが、それはいけないどころかむしろ必要なことであり、理想的にはさらに高い目標を掲げた住まいづくりを考えるべきだ、というのがわたしたちの主張です。公的指導基準(次世代省エネ基準)は、いわば満たすべき最低ハードルを示したものにすぎないのです。それが証拠に、すでに2030年以降の全住宅のZEH住宅への移行がすでに目標化されそこではさらに高いUA値をめざすことが論議されているのです。

はじめから高い目標値をかかげて住まいづくりに取り組むべきなのです。

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